テニス初心者向け練習方法!最初に取り組みたい基本メニュー
コートを2時間借りたはいいものの、いざ立つと「何をどの順番で練習すればいいのか」で手が止まる。とりあえずラリーをして、疲れたら休んで、なんとなくサーブを打って終わり——初心者の自主練で、いちばん多い時間の使い方です。スクールならコーチがメニューを組んでくれますが、自分たちで練習するとなると、中身の設計から自分でやることになります。
上達する練習には、決まった骨組みがあります。ウォームアップで体と感覚を整え、基礎打ちで打点を作り、テーマを決めた練習で弱点を埋め、ゲーム形式で実戦に近づける。この流れに時間を割り振るだけで、同じ2時間の密度がまるで変わります。ここでは、時間配分つきの1回のメニュー例から、週単位の組み方、二人・一人でできる基本ドリルまでを、そのまま使える形で紹介します。
1回の練習の全体像(時間配分)
まずは1回の練習の骨組みを決めます。90分を例に、負荷の軽い動きから重い動きへ順に並べた配分がこちらです。
| 時間 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 10分 | ウォームアップ | 体を温め、その日の感覚を確認する |
| 20分 | 基礎打ち(ミニラリー〜ラリー) | 打点と面を安定させる |
| 30分 | テーマ練習 | その日の弱点を1つ集中して埋める |
| 20分 | ゲーム形式 | 実戦のテンポで練習を試す |
| 10分 | クールダウン・振り返り | 体をほぐし、できた点を記録する |
大切なのは、疲れてフォームが崩れる前に難しい練習を終えることです。動きの多いテーマ練習やゲームは前半〜中盤に置き、後半は軽い基礎打ちや振り返りに充てると、質を保ったまま終えられます。時間が60分なら各項目を短縮し、テーマ練習だけは削らずに残します。
ウォームアップの中身

いきなり全力で打つと、体を痛めるうえフォームも乱れます。最初の10分は、体と感覚をならす時間です。まず軽いランニングや肩・股関節・足首を回すストレッチで体を温めます。次に、ネットを挟まず、あるいは至近距離で、山なりの緩いボールをワンバウンドで返し合います。短い距離から始めて、少しずつ下がりながら打点と面の感覚を戻していきます。ここで強く打つ必要はありません。ボールの中央を面でとらえる感覚が戻れば、ウォームアップは十分です。けが予防のためにも、体が温まる前の強打は避けます。特に大人は肩・ひじ・アキレス腱を痛めやすいので、寒い日や朝は温まるまでの時間を長めに取り、軽いラリーの本数を増やしてから本格的な練習に入ります。
基礎打ち(ラリー)の進め方
基礎打ちは、すべての土台です。距離を段階的に伸ばして、打点と面を固めます。
- ショートラリー:サービスライン同士で、山なりのボールを続ける。速さより連続回数を目標にする
- ベースラインラリー:下がって、深いボールで続ける。ネットの上を高めに通して、コート奥へ集める
- クロスラリー:斜めに打ち合い、角度をつけたボールに慣れる
基礎打ちの目標は、強く打つことではなく「続けること」です。ラリーが10球、20球と続くようになると、それだけで打点に入る反復量が積み上がります。途切れたら距離を縮め、続く速さまで落として立て直します。
相手がいないときは、壁打ちで基礎打ちを代用できます。壁はワンバウンドで確実に返してくるので、フォア・バックの連続で打点に入る反復を稼げます。相手がいる日はラリー、いない日は壁、と使い分けると、基礎打ちの時間を切らさずに済みます。
テーマを1つ決める練習
30分のテーマ練習が、その日の伸びを決めます。あれもこれもと欲張らず、1回につき1テーマに絞ります。曜日や回ごとにテーマを回すと、偏りなく全体を伸ばせます。
- フォアハンドの日:クロス・ストレートへの打ち分け、深さのコントロール
- バックハンドの日:準備を早め、前でとらえる反復。苦手なら回り込みも練習
- ボレーの日:ボレーボレー、ストローク対ボレーで面と距離感を作る
- サーブの日:トスの安定、サービスライン付近からの段階練習、セカンドの確保
1つのテーマを繰り返すと、その動きが体に残ります。毎回違うことをやると、どれも中途半端になります。同じテーマを数回続けてから、次へ移すのが定着の近道です。
レベル別のメニュー例
同じ初心者でも、段階によって重点は変わります。今の自分に近いほうを選びます。
全くの初心者(ラリーがまだ続かない)
この段階は、ボールを面の中央に当てることが最優先です。1回の練習は、コーチや相手の手出しで正面へ来る球を、フォアで10球、バックで10球と当てる反復に多く割きます。次に、サービスライン同士の近い距離で、山なりのボールを2〜3球でも続けます。サーブは、トスと素振りだけでも十分です。この時期は、続いた本数より「まっすぐ当たった本数」を数えると、伸びが見えます。
ラリーが少し続く段階
数球のラリーが続くようになったら、距離を伸ばし、動きを足します。ベースラインからのラリーで深さを出し、左右に動かされながら打つ球出しを加えます。ボレーやサーブにも時間を割き、テーマを回します。ゲーム形式を短く入れて、練習した球を実戦で試すのもこの段階からです。狙いを「続ける」から「狙って返す」へ移していきます。
この2段階は、はっきり分かれるものではありません。フォアは続くがバックは当たらない、というように、ショットごとに段階が違うのが普通です。苦手なショットは前の段階のメニューに戻し、得意なショットは次の段階へ進めます。
週単位の練習メニュー例
1回で全部はできません。週の回数に合わせて、テーマを割り振ります。
| 頻度 | 組み方の例 |
|---|---|
| 週1回 | 1回の中でストローク中心+サーブ少し。月ごとにボレーやサーブの比重を変える |
| 週2回 | 1回目はストローク(フォア・バック)、2回目はボレーとサーブに分ける |
| 自主練を足す | コート練習の合間に、家で素振りや壁打ちを短く入れて感覚を保つ |
週1回なら、ストロークの土台づくりを軸にし、月単位でテーマを回します。週2回取れるなら、打ち合う日とネット・サーブの日に分けると、全体をまんべんなく伸ばせます。
二人でできる基本メニュー
相手がいる日は、球出しやラリーで実戦感覚を養います。次のドリルは初心者でもすぐ取り組めます。
- 手出し・ラケット出しの球出し:一方が正面へ緩い球を出し、もう一方がフォア・バックを反復する
- ミニラリー〜ベースラインラリー:連続回数を目標に、距離を段階的に伸ばす
- ボレー対ストローク:一方がネット、一方が後ろで続け、両方の役割を交代する
- 半面シングルス:コートを半分だけ使い、少ない範囲でゲーム形式に慣れる
相手のレベルが違うときは、強い人が緩めて球出し役に回ると、二人とも練習になります。決めにいくより、続ける本数を共通の目標にすると、密度が上がります。
球出し練習のやり方
二人練習で効果が高いのが球出しです。やり方を知っておくと、初心者同士でも質の高い反復ができます。出し手は、ネットを挟んだ反対側、またはネット付近に立ち、受け手が打ちやすい高さと速さで、決まった場所へ送ります。手で下から投げる「手出し」から始め、慣れたらラケットで軽く出す「ラケット出し」に進みます。
出し手のコツは、速く強く出さないことです。受け手が同じフォームを繰り返せる、山なりの緩い球を、同じ位置へ。10球ごとに区切り、フォア、バック、と場所を変えます。受け手が安定したら、左右に振って動いて打たせます。出し手もコースを狙って出す練習になるので、交代しながら行うと二人とも上達します。決めにいく球ではなく、相手が練習しやすい球を出せる人ほど、良い練習相手になります。
ゲーム形式の取り入れ方
練習した球は、ゲーム形式で試して初めて身につきます。ただし、いきなり本格的な試合をすると、フォームより勝ち負けに気が向いてしまいます。初心者のうちは、条件をつけた簡単なゲームから始めます。サーブなしでラリーから始める、半面だけを使う、10球続けてからポイントを数える、といった形です。
ゲームでは、その日に練習したテーマを1つだけ意識します。「今日はセンターへ深く返す」「ボレーはコースへ置く」のように、狙いを決めて試すと、練習とゲームがつながります。勝ち負けより、練習した動きが実戦で出せたかを振り返ると、次の課題が見えてきます。
一人でできる基本メニュー
相手やコートがない日も、練習は止めません。一人でできるメニューを組み合わせます。
- 壁打ち:ワンバウンドでフォア・バックを交互に続け、打点に入る反復を稼ぐ
- 素振り:フォア・バック・サーブの一連を、鏡や動画で軌道を確認しながらなぞる
- トス練習:サーブのトスを、目印へ同じ位置に落とす反復
- フットワークドリル:スプリットステップやサイドステップ、ラインタッチで動き出しを養う
一人練習は、相手の球がないぶんフォームづくりに向いています。悪い癖を固めないよう、正しい形をゆっくり反復することを優先します。
初心者が最初の1か月で取り組む順番
始めたばかりの時期は、練習の中身に順番があります。難しい動きを先にやると、どれも身につきません。次の順で1つずつ土台を作ります。
- グリップと構えを決める
- フォアハンドで、面をまっすぐ当てて返す
- ミニラリーで、打点と距離を合わせる
- バックハンドを加える
- ネット前のボレーで、振らず当てる形を覚える
- 最後にサーブ。トスを安定させて枠に入れる
サーブと試合形式は楽しい反面、難度が高い動きです。焦って先に手を出すより、ラリーが続く土台を作ってから足すと、結果的に早く上達します。
メニューを続けるコツと記録
練習の効果は、続けることで積み上がります。次に練習する日を先に決め、間を空けすぎないことが何より効きます。1回ごとに、できたこと・難しかったこと・次に試すことを短くメモしておくと、次回のテーマがすぐ決まります。「ラリーが15球続いた」「バックの準備が早くなった」といった小さな前進の記録が、続ける理由になります。上達を焦るより、同じテーマを丁寧に繰り返すほうが、初心者には近道です。
雨天・コートが使えない日の代替メニュー
雨や予約が取れずコートに立てない日でも、練習は止めずに済みます。屋根のある壁打ち場や体育館の壁が使えれば、壁打ちでラリーの感覚を保てます。場所がなければ、室内でできる素振りが基本です。フォア・バック・サーブの一連を、鏡の前でゆっくり正確になぞり、フォームを整えます。天井の低い室内ではトスを高く上げにくいので、サーブはトスを上げて手でキャッチする反復に切り替えます。
体を動かしたい日は、スクワットやランジ、その場でのスプリットステップなど、下半身とフットワークの補強に充てます。これまで撮った動画を見返し、直す点を整理しておくのもよい使い方です。コートに立てない日を「フォームと体を整える日」と位置づけると、次にコートへ出たときの動き出しが変わります。
上達が止まったと感じたときのメニュー見直し
しばらく続けると、伸びを感じにくい時期が来ます。多くは、同じ練習を漫然と繰り返しているのが原因です。まず、練習の記録を見返し、最近どのテーマに時間を使ってきたかを確認します。ラリーばかりでサーブに触れていない、得意なフォアばかりでバックを避けている、といった偏りが見つかることがあります。
見直しの手は3つです。1つ目は、避けていた苦手なショットを、次の数回のテーマに据えること。2つ目は、練習の負荷を1段上げること(ミニラリーからベースライン、動かない球から動く球へ)。3つ目は、動画で今のフォームを撮り、始めたころと比べて崩れた点を探すことです。停滞は、やり方を変える合図です。同じメニューを続けるより、負荷か対象を1つ変えると、また伸び始めます。
よくある失敗と直し方
初心者の自主練でありがちなつまずきを、先に知っておくと避けられます。
- メニューを詰め込みすぎる:1回のテーマは1つに絞る。あれこれ手を出すとどれも残らない
- 最初から強く打つ:面の中央に当てるほうが先。強打はフォームが固まってから
- ゲームばかりやる:楽しいが基礎が伸びにくい。基礎打ちとテーマ練習を必ず入れる
- 疲れてから難しい練習をする:フォームが崩れる。動きの多い練習は前半に置く
どれも練習の設計の問題です。強いショットを覚える前に、この4つを避けるだけで、同じ時間の密度が変わります。
まとめ
初心者の練習は、ウォームアップ・基礎打ち・テーマ練習・ゲーム形式・振り返りという骨組みに時間を割り振ると、密度が一気に上がります。1回につきテーマは1つに絞り、フォアやバック、ボレー、サーブを回ごとに変えて偏りなく伸ばします。週1回なら月単位でテーマを回し、週2回なら打ち合う日とネット・サーブの日に分ける。相手がいる日はラリーや球出し、いない日は壁打ちや素振りで感覚を保ちます。まずは次の練習で、テーマを1つ決めて時間配分を組むところから始めてみてください。