テニスガットのテンション目安を解説!硬め・柔らかめの違いと選び方
ガットを張り替えるとき、店員に「テンションはいくつにしますか」と聞かれて戸惑った経験はないでしょうか。同じラケット、同じガットでも、張る強さ(テンション)が数ポンド変わるだけで、飛び方も打球感もコントロールのしやすさも変わります。飛びすぎて浅く抑えられない、逆に飛ばなくて力んでしまう、打球が硬くて腕に響く——こうした悩みは、テンションの上げ下げで方向を調整できます。
テンションは「高いほど良い」「低いほど良い」というものではなく、パワーとコントロール、打感のトレードオフです。ここでは、高め・低めで何が変わるのか、推奨レンジの読み方、そして迷ったときの決め方までを解説します。
テンションの高い・低いで何が変わるか
テンションを理解する第一歩は、上げたとき・下げたときに何が変わるかを知ることです。パワーとコントロールが逆方向に動くのがポイントです。
高く張ると(硬め)どうなるか
テンションを高く張ると、ガットの面が締まって硬くなります。ボールが面に食い込む量が減るため、飛びが抑えられ、自分で振ったぶんだけ飛ぶ「コントロール寄り」の打ち味になります。飛びすぎを抑えたい人、しっかり振って収めたい人に向く方向です。一方で打球感は硬くなり、打球衝撃が腕に伝わりやすくなるため、肘や手首への負担は増えがちです。
低く張ると(柔らかめ)どうなるか
テンションを低く張ると、面がたわみやすくなり、ボールを面が長く保持して弾き返します。その結果、同じ力でも飛びが出て、打球感もやわらかくなります。力に頼らず飛ばしたい人、腕への負担を抑えたい人に向く方向です。ただし飛びが増えるぶん、振り切るとアウトになりやすく、コントロールは自分で管理する必要があります。
パワーとコントロールはトレードオフ
高く張れば飛びは抑えられるがパワーは自分で出す必要があり、低く張れば飛ぶがコントロールは自分で抑える必要がある——テンションは、このパワーとコントロールのバランスを決めるつまみです。どちらか一方だけを良くする魔法の数値はないので、自分が「飛びすぎ」と「飛ばなさ」のどちらで困っているかを基準に、上げ下げの方向を決めます。
推奨テンションレンジの読み方
テンションをいくつにするか決めるとき、最初の手がかりになるのがラケットに記載された推奨レンジです。
ラケットに記載された推奨範囲を見る
多くのラケットには、フレームやメーカーの案内に推奨テンションの範囲がポンドで示されています(たとえば「45〜60ポンド」のような幅です。表記や単位は製品により異なります)。この範囲は、そのラケットが想定する飛びと打感が得られる目安なので、まずはこのレンジの中から選ぶのが基本です。範囲を大きく外れると、フレーム本来の性能とずれることがあります。
迷ったらレンジの真ん中を基準にする
推奨レンジのどこにするか迷ったら、まずは範囲の中央あたりを基準にするのが無難です。そこから、飛びを抑えたければ数ポンド上げ、飛びや柔らかさが欲しければ数ポンド下げる、と調整します。いきなり範囲の上限・下限を選ぶより、真ん中を出発点にしたほうが、上げ下げの効果を体感で比べやすくなります。
ポリとナイロンで基準が変わる
同じ数値でも、素材によって体感は変わります。ポリエステルはもともと硬めなので、ナイロンと同じテンションで張ると、より硬く感じられます。そのため、ポリはナイロンより低めのテンションで張って、飛びと打感を補うのが一般的な考え方とされます。素材を変えるときは、前と同じ数値をそのまま使わず、素材に合わせて基準を見直すと失敗を減らせます。
テンションを代表的なガットで考える
素材やタイプによって、合わせたいテンションの方向は変わります。ここではダンロップのストリングを、テンションの考え方の代表例として取り上げます。価格や在庫は変わるため、購入前に公式ページで確認してください。
ダンロップ アイコニック・オール
アイコニック・オールは、ナイロンのバランス型にあたるストリングです。突出した個性を持たせず全体をまとめたナイロンは、推奨レンジの中央あたりから始めて、飛びと打感のバランスを確かめる基準にしやすい系統です。まずこうした標準的なナイロンで真ん中のテンションを体感し、そこから上げ下げの方向を決めると、自分に合う強さの見当がつきます。
ダンロップ アイコニック・タッチ

アイコニック・タッチは、ナイロンの中でも打球感を重視したタイプの代表例です。やわらかい打感が持ち味の系統は、テンションを下げるとさらに当たりがマイルドになり、腕への負担を抑える方向に寄せられます。硬い打感が腕に響くのを避けたい人が、柔らかいナイロンを低めのテンションで張る、という組み合わせの考え方を示す一本です。
ダンロップ エクスプロッシブ・スピード

エクスプロッシブ・スピードは、ポリエステル系の代表例です。ポリはもともと硬めなので、ナイロンと同じ数値で張ると硬く感じられます。伸びやスピードを出す使い方では、低めのテンションで張ってたわみと飛びを引き出す、というのが近年よく取られる考え方です。ポリを試すときは、ナイロン時代の数値をそのまま使わず、一段下げて張ると硬さを抑えられます。
ダンロップ エクスプロッシブ・バイト

エクスプロッシブ・バイトは、ポリエステル系の中でもスピンを意識したタイプの代表例です。回転をかける系統は、低めのテンションで張ると面がたわんでボールを掴む余地が増え、食いつきと回転を引き出しやすくなるとされます。回転を武器にしたい人が、スピン系のポリをやや低めに張って引っかかりを活かす、というテンションの合わせ方を示す一本です。
ダンロップ シンセティック・タフ

シンセティック・タフは、ナイロンの中でも耐久を重視したタイプの代表例です。丈夫な系統は、テンションをやや高めにしてコントロール寄りにしても、ナイロンのやわらかさで打感が保たれやすい傾向があります。切れにくさを重視しつつ、飛びすぎを抑えたい人が、耐久ナイロンをやや高めで張る、という組み合わせの考え方を示します。まず標準で張り、飛びすぎるなら上げると調整できます。
迷ったときのテンションの決め方
数値で迷ったら、いきなり大きく変えず、今を基準に少しずつ調整するのが失敗しないコツです。
今のテンションを基準に少しずつ動かす
すでにテニスをしている人は、今張っているテンションが最良の基準です。まったくの当てずっぽうで数値を決めるより、今の張りで飛びすぎか飛ばなさかを判断し、そこから2〜3ポンドずつ動かすと、変化を体感で追えます。一度に5ポンド以上変えると、何が効いたのか分からなくなりやすいので、小刻みに調整するのが確実です。
悩み別に上げ下げの方向を決める
方向に迷ったら、悩みから逆算します。飛びすぎてアウトが多いなら上げてコントロール寄りに、飛ばなくて力んでしまうなら下げて反発を足す。打球が硬くて腕に響くなら下げて柔らかく、手応えがなくてぼやけるなら上げて締める。今のプレーで一番気になる点を一つ選び、その解決に向く方向へ動かすと、迷いが減ります。
近年は「緩め」の方向も広がっている
近年は、とくにポリエステルを低めのテンションで張り、面のたわみで飛びとスピン、打感を出す考え方が広がっているといわれます。硬く高く張れば良いという発想から、低めに張って性能を引き出す方向へ、選択肢が広がっているということです。硬さや飛びの少なさに悩んでいるなら、思い切って下げてみる価値があります。ただし下げすぎると飛びが増えてコントロールが難しくなるため、レンジの範囲内で試します。
テンションと腕への負担
テンションは、飛びやコントロールだけでなく、腕への負担にも関わります。一般に、高く硬く張るほど打球衝撃が腕に伝わりやすく、低くやわらかく張るほど衝撃はやわらぎやすいとされます。肘や手首に不安がある人は、硬いポリを高いテンションで張る組み合わせを避け、素材をやわらかくする、テンションを下げる、といった配慮をすると負担を抑えられます。飛びやスピンだけでなく、体への負担まで含めてテンションを決めると、長くプレーを続けやすくなります。
ガット素材とテンションの組み合わせ
テンションは、単独ではなく素材や太さと組み合わせて効きます。素材ごとに基準を変えると、狙った打感に近づけます。
ナイロンは推奨レンジの中庸から
ナイロンはもともと打感がやわらかく反発を得やすいため、まず推奨レンジの中央あたりで張り、飛びと打感のバランスを確かめるのが基準です。飛びすぎるなら上げ、飛びや柔らかさが欲しいなら下げます。ナイロンは数値の変化が素直に打感へ表れやすいので、上げ下げの効果を体感で追いやすく、テンションの感覚をつかむのに向いた素材です。
ポリは一段下げて張るのが基本
ポリエステルは硬めなので、ナイロンと同じ数値で張ると硬く感じられます。ナイロンから移るときは、同じ数値をそのまま使わず、一段下げて張ると硬さを抑えられます。近年は、ポリを低めに張って面のたわみで飛びとスピン、打感を引き出す考え方が広がっているとされます。硬さや飛びの少なさが気になるなら、レンジの範囲内で思い切って下げてみる価値があります。
ハイブリッドは素材ごとに考える
縦と横で別素材を張るハイブリッドでは、素材ごとに適したテンションが違う点に注意します。縦にポリ、横にナイロンを張る場合、それぞれの素材に合わせて張り分ける、あるいは全体の打感を見て調整するといった考え方があります。単一素材より設定が複雑になるため、最初はショップに狙い(スピンは欲しいが硬さは抑えたい等)を伝えて相談すると、無理のない設定にできます。
太さ(ゲージ)とテンションの関係
同じテンションでも、ガットが細いとたわみやすく、太いとたわみにくいため、体感の硬さは変わります。細いガットに高いテンションを重ねると、切れやすさが増すこともあります。太さを変えたときは、テンションもあわせて見直すと打感が安定します。太さとテンションはどちらも打感に効くので、一度に両方大きく変えず、片方ずつ調整すると違いを確かめやすくなります。
テンションでよくある疑問
数値を決めるとき、レンジや素材以外にも迷う点が出てきます。よくある疑問を整理しておきます。
硬く張るほど長持ちする?
硬く張っても、寿命が延びるわけではありません。むしろ高いテンションは、ガットや面への負担が大きく、緩みや切れが早まることもあります。テンションは、飛びとコントロールのバランスを決めるもので、耐久を目的に上げるものではありません。長持ちを重視するなら、テンションより、太めのゲージや耐久重視の素材で対応するほうが理にかなっています。
同じ数値でも店によって仕上がりが違う?
同じテンション指定でも、張り機の種類や張り手のやり方、張ってからの時間で、仕上がりの体感が多少変わることがあります。いつも同じ店で張ると、条件がそろって前回との比較がしやすくなります。店を変えて感覚が違うと感じたら、テンションの数値だけでなく、張り方の条件も変わった可能性を踏まえ、次回にわずかに調整して合わせると自分の基準を保てます。
気温や季節でテンションは変わる?
ガットは温度の影響を受け、寒いと硬く、暑いとやや柔らかく感じられることがあります。また張った後の時間経過でも緩んでいきます。季節をまたいで打感が変わったと感じるのは、こうした要因が重なっているためです。気になる場合は、寒い時期はわずかに下げる、といった微調整をする人もいますが、まずは基準を一定にして、体感の変化を記録しておくと調整の判断がしやすくなります。
プレストレッチとは?
張り上げの工程で、ガットをあらかじめ引っ張ってから張る「プレストレッチ」という方法があります。張った後の緩みを抑え、テンションの持続を狙う考え方です。仕上がりの打感に関わるため、テンションの持ちが気になる人は、張り替えを頼むときに対応の有無を相談してみるとよいでしょう。まずは基本のテンション調整に慣れてから、こうした選択肢を検討すると無理がありません。
まとめ
テンションは、パワーとコントロールを決めるつまみです。高く張れば飛びは抑えられコントロール寄りになりますが打感は硬く腕の負担は増え、低く張れば飛びと柔らかさが出ますがコントロールは自分で管理する必要があります。どちらが正解ということはなく、自分が飛びすぎと飛ばなさのどちらで困っているかで方向が決まります。
まずはラケットの推奨レンジの中央を基準にし、素材(とくにポリは低め)に合わせて見直し、今の張りから2〜3ポンドずつ調整します。近年は緩め方向の選択肢も広がっているので、硬さや飛びの少なさに悩むなら下げて試す価値があります。腕への負担まで含めて、自分に合う一点を探してみてください。